1. 遺伝子検査を行う上で、検体中に微量しか含まれない核酸を増幅する操作は必須である。我々は、従来の方法よりも簡単な装置で精確に核酸を増幅する方法(LAMP法)を開発した。ここでは、核酸増幅を行う意義も含めて、この新しい核酸増幅法の原理、特徴を発表する。
2. 6つの領域を認識する4種類のプライマー(LAMP用プライマー)をバッファー、基質(dNTPs)、鎖置換型DNA合成酵素および鋳型DNAと混合し、60℃で60分反応させた1)。反応後の溶液に対し、アガロース電気泳動や制限酵素による消化反応などを行った。
3. 反応溶液中に標的DNA(HBV)が共存する場合のみ、LAMP増幅に特徴的なラダーパターンが観察された(レーン1?3)。このLAMP産物を、制限酵素(Ear I)で消化すると、予想されるサイズのバンドに収束した(レーン5)。これは、LAMP反応が標的DNAを特異的に増幅していることを意味する。このように、LAMP法を用いれば、簡易、迅速、精確、安価な遺伝子検出が可能となる。本発表では、LAMP法の原理と特徴を、既存の増幅法(主にPCR法)と比較しながら詳しく発表する。
1) T.Notomi et al., Nucleic Acids Res., 28, e63(2000).
日本化学会 秋季大会(2001.9.20〜23; 千葉) |